中学英語の「学力崩落」はなぜ起きたのか?2026年最新調査が示す深刻な実態と指導要領の見直し方針
「小学校から英語科目を導入することによって、逆に中学段階の英語力が低下した」という読売新聞の投稿がTwitter(X)上で100万回以上表示されて大きく注目されました。
100回以上表示された読売新聞の投稿
文部科学省が2024年に実施した「経年変化分析調査」の結果が、2026年に入り教育現場に大きな波紋を広げています。
小学校での英語教科化、中学校での「英語で授業」の原則化など、英語教育改革が進む一方で、皮肉にも「中学生の英語力低下」が数字として突きつけられたからです。
この記事では読売新聞の記事、中学英語、基礎定着に課題…編集委員・古沢由紀子の内容を深堀りします。
読売新聞の投稿
読売新聞 編集委員室 @y_seniorwriters
小学校で英語を教科化したにもかかわらず、中学校段階の英語の力が低下したという調査結果が波紋を広げています。
授業で会話などの活動が増えた一方で、文法や語彙の基礎知識が定着していないという指摘もあります。
今の時代に求められる「使える英語」の習得には何が必要なのか。22日朝刊で。(隆)

Twitter(X)に投稿された画像

記事に対するTwitter(X)の主な反応
小学校の英語教育、現場から100%無理と言われていた
今の英語教育、「現場から100%ムリ」って声が出たのに無視した結果がこれ。
https://x.com/yuutaiblog/status/2035565866591695303
小6子によると、単語も文法もインプットされていない状態でスピーチさせられる無茶ぶりに児童達は困惑し、疲弊しているそうなのに、報われないなんて
https://x.com/noir_ism/status/2035954008897306924
小学校英語の教科書が中2で習うような文法を使ってて、教える順番が支離滅裂だそうですね。
小学校段階で英語嫌いになって、わけわかんない状態で中学に上がって来るから、たとえば、I am have pen.とか書く子がザラにいるようです。小学校の先生も本当にかわいそうですよ
https://x.com/V6zgN9mvifif6Ob/status/2035752127071719629
参考: “I am have pen.” be動詞と一般動詞を同時に使う、中1英文法で指摘されることが多い、よくある間違いです。

中学1年の英語教科書が難しすぎる
中1英語、最初から詰め込みすぎなんです。
be動詞・一般動詞・canを同時進行、
単語は中学3年間で以前の1.5倍。
正直、小学生から塾で英語やってる子は強い。
スタート時点で差がついて、
そのまま差が広がる構造になってると思う。
中学生の教科書📗
大改訂前の順序とレベルに戻してほしい。
https://x.com/yokota44801/status/2035775346247966878
参考: 公立中の中1がゴールデンウイーク前に学習する内容
ここに登場する英文を理解するためには、「一般動詞」「be動詞」「接続詞を使った複文の作成」「助動詞can」「助動詞canの否定」を知っておく必要が有ります。助動詞の学習は中学1年の英文法教材で後半に登場する内容です。

小学校英語を無くして、中学から開始に戻した方が良い。現在は2極化が加速。
英語は中学に入ってから、に戻すしかない。
小学校で英語をきちんと教えるのは無理。
単語、書けない。
文法、全くきちんとやってない。
こんなんで中学来た時点で「小学校でやったよね」からスタートするのはあまりに不憫。
「英語は中学からやろうね」という認識なら何とかなる。
小学校であんな授業するなら、発音記号を完璧に覚えさせてる方が絶対いい。
英語一切やらずに中学受験の勉強に全振りしてたら、せっかく志望校入れてもそのあと英語で詰む。
そんな子を何人も見てる。
https://x.com/cup53594/status/2036223209964707972
現行のコミュニケーション重視の「英語ぺらぺら幻想」って、基礎土台のないところにビルを建てようと夢見ているようなものですよね。しかも、高く、高くと。
その結果、英語のできる少数のトップ層とそれ以外の英語嫌いに二極化している。
https://x.com/yukikonosu/status/2035912521564254468
小学校の英語科目は音・歌・フォニックスだけで十分
小学生はフォニックスと英語の歌を歌うとかだけで良いのではと思っている
あとはめっちゃ簡単な絵本読みきかせしてもらうとか
意味はあとからわかるっていう順番でも良いかも
https://x.com/NanaoSakurada/status/2035950642381156627
(補足)フォニックス(Phonics)とは、英語の「綴り(文字)」と「発音」の間にある規則性(ルール)を学ぶ学習法です。
以下の動画のように英語のスペルと音の関係性について学びます。
Phonics Chant
語学学校バックワイズも日本の英語教育で軽視されている発音教育に非常に力を入れています。
1. データが語る「英語力急落」の衝撃
ここから読売新聞の記事の内容を深堀りし、読売新聞が作成した最新の図解資料とニュースを基に、日本の英語教育が直面している「二極化」と「難化」の正体、そして国が打ち出した次期学習指導要領の見直し案を徹底解説します。
2024年に全国の小学6年と中学3年、計約10万人を対象に行われた「経年変化分析調査」。この調査は3年ごとに同一問題(非公表)で行われるため、純粋な学力の推移がわかります。
英語の平均スコアが突出して低下

左下のグラフ「教科別平均スコアの推移」を見ると、国語や数学も緩やかに低下していますが、英語の下げ幅は他教科を圧倒しています。
- 「書く」力の崩壊: 英文を正確に書く問題では、正答率が5ポイント以上低下した問題が続出。
- 「話す」力の課題: 基本的な現在進行形(「私は〜していた」など)を理解して応答する問題で、正答率が21年の41.7%から24年には30.8%へと、10.9ポイントも減少しました。
特筆すべきは「無解答率」の上昇です。「話す」問題で何も答えられなかった生徒が6%以上増えており、「何から手をつければいいかわからない」という生徒が急増している現実が浮き彫りになりました。
2. なぜここまで難しくなったのか?「現行指導要領」の3つの壁
現在の学習指導要領(中学校では2021年度から実施)は、グローバル化に対応するため、内容が大幅に高度化されました。現場の教師が「ついていけない生徒が増えた」と訴える背景には、以下の3つの変化があります。
① 語彙数と文法の「前倒し」
旧指導要領では中学3年間で「1200語」でしたが、現在は「1600〜1800語」へと約1.5倍に激増。さらに、かつては高校で学んでいた「仮定法」などが中学校に下りてきました。
② 授業の「オールイングリッシュ化」
「英語の授業は英語で行うのが基本」とされ、即興のペアワークやプレゼンテーションなど、アウトプット活動が激増しました。
しかし、文法などのルールを体系的に教える時間が削られ、「なんとなく雰囲気で話すが、正確な文章は書けない」生徒を生む原因となっています。
③ 題材の「社会的話題化」
教科書の内容も、身近な日常会話から「地球環境」「SDGs」「国際問題」など、日本語でも理解が難しい高度なテーマへシフトしました。これが、英語が苦手な生徒にとってのハードルをさらに高くしています。
3. 「できる子」と「できない子」の深刻な二極化
平均スコアが下がる一方で、英検3級以上を取得している生徒の割合は増加傾向にあるという、奇妙な現象が起きています。
ここに見えるのは、学校教育以外の格差です。
- 上位層: 塾や英会話スクールで基礎(文法・語彙)を固め、学校のアウトプット授業を有効活用できる。
- 下位層: 学校の授業だけでは基礎が定着せず、高度な教科書内容に完全に取り残される。
あるベテラン教師は、「丁寧な解説の時間が足りず、プリントの宿題で補うしかない。塾に通っていない生徒ほど、つまずきから抜け出せなくなっている」と危機感を募らせています。
4. 文部科学省の見直し:次期指導要領の方向性
この「学力崩落」を受け、文科省は2031年度(小学校は2030年度)から実施される次期指導要領において、「難易度の緩和と精選」へ舵を切る方針です。
- 重要語句のリスト化: 現在は教科書ごとにバラバラな単語・文法を整理し、「これだけは確実に身につけるべき語句」を明確にします。
- 題材の身近なものへの回帰: 難解な社会的話題を減らし、生徒が興味を持ちやすい日常的な題材を充実させます。
- 文法の再定義: コミュニケーション重視の姿勢は崩しませんが、「自分の意見を伝えるための道具」として文法を着実に習得させる時間を確保します。
5. まとめ:保護者と学習者が今すべきこと
国の方針が変わるのを待つわけにはいきません。今の「難しい中学英語」を乗り切るためには、以下の視点が重要です。
- 「インプット」の軽視は禁物: 喋る練習の前に、単語と文法の土台を固めること。
- 小中連携の意識: 小学校で「慣れ親しんだ」つもりの英語が、中学で「学問」になった時のギャップを家庭でフォローすること。
英語教育の目的は、間違いを恐れず視野を広げることです。しかし、その「広がる視野」を支えるのは、地道な基礎学習であるという原点に立ち返る時期が来ているのかもしれません。



