語学学校バックワイズの発音矯正レッスンで採用している教材、フォニックス〈発音〉エクササイズBOOK、<フォニックス>できれいな英語の発音がおもしろいほど身につく本の著者、ジュミック今井先生のインタビュー記事です。
フィリピン留学の語学学校サウスピークではジュミック今井先生の教材「発音矯正レッスン」で使用する参考書として創業当初より導入し、多くの留学生の方々から「本当に発音が綺麗になった」と好評をいただいております。
サウスピークの学習カリキュラムを引き継ぎ発展させている語学学校バックワイズでも引き続き発音矯正レッスンではジュミック今井先生の教材を採用しています。
英語の発音は、誰もが1度は「英語を母国語みたいに(Native English Speakerみたいに)、綺麗な英語で話せるようになりたい」と思ったことがあるでしょう。
本記事では、ジュミック今井先生に「日本人が英語の発音を学ぶとはどういうことか」をお伺いしました。
語学学校バックワイズでもフォニックスの教材を使用します
下記の2冊を語学学校バックワイズでは発音矯正レッスンで使用します。
ジュミック今井先生 プロフィール
大手英会話スクールの主任教師を経て、東京都渋谷区にて英会話教室を主宰。
フリーランスとして翻訳業、及び語学書の執筆活動を行っている。読売・日本テレビ文化センター(横浜校)講師。NPO法人「J-Shine小学校英語指導者」資格者。2013年、中国文化大学(台湾)にて日本語教師養成班を修了、国内外で日本語教師としても活動中。American Council on the Teaching of Foreign Languages(全米外国語教育協会)学会に所属、ACTFL公認OPI日本語テスター。
ジュミック今井のブログ:http://jumiqueimai.blog.fc2.com/
無料メルマガ「英語がぺらぺらになりたい!」:https://www.mag2.com/m/0000023640.html
「誰もやったことがなかったから、やってみようと思った」フォニックス発音トレーニングBook出版秘話
ーー「フォニックス発音トレーニングBook」を出版された背景を教えてください。
まずわたしはジュミック今井という名前で活動していますが、紛れもなく純日本人です。英語は母語ではありません。
ですので「外国語として英語を学ぶ人達がどうすれば英語の発音を上手させられるのか」を考えて、本書を出版しました。
出版のきっかけは、とある英会話学校の英語講師として働いていた時のことです。
当時は児童クラスを担当しており、フォニックス※という指導法で英語の発音を教えなければなりませんでした。私もその時に初めて「フォニックス」というものがあると知りましたし、基本的に子供向けのものでした。
<フォニックスとは>
英語を母国語とする子どもたちが学ぶ「つづり字(スペル)と発音の関係を示したルール」のことです。
英語の綴(つづり)を見れば、どうやって発音をすれば良いのかを学べます。例えばフォニックスでは a, b, c, dを a(ア)、b(ブッ)、c(クッ)、d(ドゥッ)と発音します。
実際に英単語を発音する際には、このように発音をすることが多いです。逆に、エイ、ビー、シー、ディーとは発音しません。
フォニックスを学ぶことで英語を母国語とする子どもたちは、耳から入ってきた音を英単語に変換することができます。
つまり、つづり(スペル)が分からなくても音を聴くことで、英単語のつづりを推測出来るようになります。
「フォニックスを大人向けの発音矯正で使えるかどうか」を考えたことがある人は、当時はほとんどいなかったと思います。
でも、私個人はいつか大人にフォニックスで発音を教えたいと思っていました。
そこで出版社から参考書出版に関してお声がけいただいた際に、「フォニックスを大人向けに教えられる教材を作りたい」と担当編集者の方にお話したんです。
ただ、当然大人は誰もフォニックスという存在を知りません。
誰も知らないから、出版しても売れない、だから企画は絶対通らないだろうと言われました。
しかし、「誰も知らないということは、実はこれから広く知ってもらう余地があるのではないか」とも言ってくださいました。そして駄目元で企画案を出してみたら、この企画が通ってしまったんです。
その結果、「フォニックス発音トレーニングBook」を出版することになり、本書は2018年8月時点で82刷、約10万部売れました。
ーーすごいですね!13年前に出版して(2005年に出版)、売れ続けているのは本当に素晴らしいことです。
本書の特徴として面白いのは、発音の説明に使用されている絵や図です。口腔図※も、簡易化したものを採用しています。
これは担当編集者の方の疑問から端を発しているのですが、「詳細で生々しい口の断面図なんか、誰か見たいのかな?」と。
口腔図 ※クリックするとGoogle image検索に飛びます。
⇒口の断面図。音声学を学ぶ際に主に使用される。
英語の発音を指導する際に「口は楽器である」と私は指導しています。
「口のどの部分を押さえれば、どういう英語の音が出るのか」というように、自分の口を楽器と見立てて英語の発音の練習をしてもらいます。
「自分の口を例えば笛や尺八だと考えましょう」という風に指導をします。
でも、これが音声学や発音について学んだことがない、日本によくいる英語を母語とする英語講師だと、”Repeat after me. You can do it!(この通りにやってごらん、できるよ!)”という指導方法に終始してしまいがちです。
また、日本人の英語講師であっても、発音が良い講師はそう多くはいません。
ですので、日本人が口の構造を理解して学べるようになることが本書「フォニックス発音トレーニングBook」の目的でした。そのため、本書は音声学に基づいた厳密な指導とはないです。
本書「フォニックス発音トレーニングBook」を通じて「楽器を演奏するための指を当てる場所」を習う感覚で、英語の発音について学んでいただければと思います。
ーー詳細な口の断面図を用いて音声学を学ぶよりも、抽象化した図を使用して学ぶ方が要点を押さえることが出来て、学びやすいように思います。
出版当初は、世の中の音声学の先生方に怒られるのではないかと、戦々恐々として本屋に向かった覚えがあります(笑)
それまではこういった発音参考書は存在していませんでしたから。
英語を英語らしく話せるようになるための「英語体内時計」
個別の発音については本書「フォニックス発音トレーニングBook」で十分だと感じています。
ただ、それに加えて英語初級レベルの人の場合、個別の音の発音方法だけなく、英語特有の抑揚・強調する発音、また「舌先ではなく喉を使った発音方法」や「腹式呼吸による発音」などに関しても学ぶ必要があるなと感じています。
私の造語ですが、「英語体内時計」を身に付ければ解決できるのかもしれません。
英語を英語らしく話すためのリズムを刻む「英語体内時計」です。この「英語体内時計」が動きだせば、英語を英語らしいリズムで話せるようになります。
「フォニックス発音トレーニングBook」ではリスニング音源のBGMにメトロノームの音を組み込みました。
このメトロノームの音に合わせて、自分を楽器だと思って、英語という言語の音に慣れてください。
日本語にはない、抑揚、音の高低を体感下さい。日本語みたいに平坦に発音する考えは英語を発音する際には捨てて下さい。
こういったことを意識することで、「英語体内時計」が動き出します。この英語体内時計が動いているかどうかで、発音の良さは大きく分かれます。
語学留学や海外生活で「英語体内時計」を身につける
ただ、日本にいながらにして「英語体内時計」、英語特有のリズムを身に付けるのはやはり難しいです。なぜなら日本は日本語中心の世界ですから。
だからこそ海外留学は良いと思います。3か月、半年と一定期間英語だけの世界で英語特有のリズムを一度身に付けると、「英語体内時計」はその後もずっと使えます。
英語の発音矯正に取り組むというのは、自分を壊すという面があると思います。
嫌な言い方ですが、日本人らしさ(アイデンティティ)を一度手放して、英語のリズムを取り入れることです。なぜなら、英語は「日本語による、日本人的な言葉のリズムとは大きく異なっているから」です。
しかし大人はすでにたくさんの知識や経験があるため、自分をなかなか壊すことは出来ません。
ーー若ければ若いほど、英語が上達しやすいのは、日本語という母語のフィルターがあまり無いからというのも有りますね。
もちろん「自分の一部を自発的に壊してまで、英語を学ぶ必要があるのか」という問いもあると思います。
一方で、私は多くの英語学習者の方を拝見していると「有るだろうな」と思います。
英語という日本語とは大きく異なる言語を身につけるには、一度自分に染み付いている多くの知識や常識を否定する必要が有ります。
だからこそ、たくさんの否定を体験できる語学留学や海外生活をする価値があるのではないかと思います。日本にいては自分を壊せないという方も、海外へ行くと自分の限界を突破できることもありますから。
発音は身だしなみ。”Practice makes perfect”の精神で何度も練習してください
ーー最後に、発音を学習している英語学習者に激励のメッセージをいただけますか。
「発音は音ありき、音は口ありき」です。
水泳を例に上げると、いくらバタ足の仕方を文字で読んで頭の中で想像しても、実際にプールの中でバタバタしていないと上達することは有りません。
発音は参考書で学んだならば、その後は実際に「口に出す」ことが大切です。
発音の練習は1つの音あたり15分でも良いと思います。なお、その際にはリスニング音源を聞きながら、正しい音を確認ください。
“Practice makes perfect”、日本語で言うと、「習うより慣れよ」「継続は力なり」です。何度も繰り返すことが大事です。
一度読むだけで覚えられることって、英語学習に関していうと、すごく限られていると思うんですね。だからこそ、何度も何度も繰り返すことが大事です。
英語の発音学習は、地味ですが、身だしなみだと思って下さい。
発音が良いだけで、得することも多く有ります。例えばですが、アジア人がそれなりの英語の発音で話すと、相手の態度が変わり、恩恵を受けられることが有ります。
私も見た目は完全にアジア人ですが、イギリス訛りの英語を話して驚かれたことが何度も有ります。
英語の発音の学習をすることで、身だしなみが整えられたことで受けられる恩恵をどこかで感じてほしいなと思っています。
【インタビュー終わり】
語学学校バックワイズでは「フォニックス発音トレーニングBook」の後継本、「フォニックス〈発音〉エクササイズBOOK」を採用
【2022年10月に柴田 @HAL_Jが追記】
本記事でジュミック今井先生が語られていた「フォニックス発音トレーニングBook」は語学学校サウスピークで長年採用されていたように良い本だと思います。
でも、一つ大きな不満が有りました。その不満とは「発音記号が併記されていない」というものです。
この不満についてはジュミック今井先生に直接お伝えする機会があり、そしてジュミック今井先生の新たな教材「フォニックス〈発音〉エクササイズBOOK」では発音記号が併記されるようになりました。
画像左上に「つづり字」「発音記号」、画像右下に単語の右横にそれぞれの発音記号。これでフォニックスと発音記号を同時に学べるようになりました!
そして、語学学校バックワイズではフォニックスと発音記号の2つを同時に学んでほしいと考えているため「フォニックス発音トレーニングBook」に代わって、「フォニックス〈発音〉エクササイズBOOK」を発音矯正レッスンの教材に採用することを決めました。
語学学校バックワイズ・フィリピン留学の説明会申込み
「3ヶ月の語学留学でTOEIC200点を上げて、マンツーマンレッスンで英会話・英作文が出来るようになる」を方針とするフィリピン留学・語学学校バックワイズではワーキングホリデー準備のためのレッスンを提供しています。
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