英語教育にAIを取り入れるなら、まずは「英作文の添削」から始めよう – 英検レベルに合わせた出力・添削で、英会話力にもつながるトレーニングが可能に


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生成AI、英語教育での活用はまだこれから?約6割が「未導入」

最近、ChatGPTなどの生成AI(Generative AI)が英語学習に使えるのではと注目されています。しかし、実際の教育現場ではどう活用されているのでしょうか?

HelloWorld社が行った調査(ICT教育ニュース|2025年5月30日公開)によると、学校現場の約60%が、授業やカリキュラムの中で生成AIを使ったことがないと回答しています。

これは試験的な導入すら行われていないケースも多いことを示しています。

英語教育で生成AIを使うなら、まずは「英作文の添削」から

生成AIの活用で、英語教育において最もおすすめの活用方法のひとつが「英作文の添削」です


従来の翻訳サービスとは違う!生成AIの画期的な特徴

これまでの翻訳サービス(たとえばDeepLやGoogle翻訳など)は、基本的に入力した日本語をそのまま自動で英語に訳してくれるものでした。便利ではありますが、語彙のレベルや文法構造を調整することはできませんでした。

しかし、生成AIの場合は違います。

出力される英文の「語彙のレベル」や「文法の難易度」を、ユーザーの希望に合わせて調整することができるのです。たとえば、「英検3級レベルで書き直してほしい」「英検2級レベルの文法を取り入れてほしい」といった要望にも柔軟に対応してくれます。

これは、従来の翻訳ツールとは一線を画す、生成AIならではの画期的なポイントです。


英検レベルに応じた学習が可能に

生成AIは、英検3級・2級・準1級といった希望するレベルに応じて、英作文を添削・リライトしてくれます

自分の現在のレベルや目標に合わせた英文を提案してくれるので、無理なくステップアップすることができます。

たとえば、

  • 英検3級レベルでやさしい文法と語彙に調整 ※中学3年生までの英文法レベル
  • 英検2級レベルで論理的な構成や接続詞の使い方を強化 ※高校英文法レベル
  • 準1級レベルで自然で洗練された表現にリライト ※TOEIC800点レベル

といったように、目的に応じた添削ができるのです。


昔は有料、今は無料で何度でも。学習者にとっては革命的

ひと昔前なら、こうした細やかな英文添削サービスは有料が当たり前でした。しかも1回数百円〜数千円かかるのが一般的で、気軽に何度も試すというのは難しかったものです。

それが今では、生成AIを使えば無料で何度でもトライ可能。しかも自分専用の英文を、その場で即座に作り直してくれます。

これはまさに、学習者にとっては革命的な時代の到来と言っても過言ではありません。


英作文力≒英会話力

言いたいことを英文にする力、つまり英作文の力がついてくると、自然と英会話の能力も向上します。

言いたいことを英語で正確に表現する練習を通じて、「話す力」も養われていくからです。

実際に、私が運営している語学学校「バックワイズ」でも、英会話力を高めるために、英作文課題とその添削を積極的に取り入れています。

英会話でお決まりの表現ばかり使ってしまっている学習者が難しい文法の理解や表現の幅を広げるためには、普段使わない表現を英作文で書きまくるのがお勧めです。

英語学習に生成AIを取り入れる第一歩として、ぜひ「英作文の添削」に活用してみてください。

そして、英作文が出来るようになれば、英会話も出来るようになります。


AIに英作文添削をしてもらう上で注意すること

最初は英検3級レベルで出力してもらう

添削してもらう英作文のレベルは英検3級レベル、中学3年生までに習う英文法レベルにしてもらいましょう。

英会話・英作文の初級者がそれ以上のレベル、英検2級、英検準1級のレベルで添削してもらっても、出力された英作文を使いこなすは無理です。

大切なのは「自分が理解し、使いこなせる英文」を出力してもらうこと

AIに出力させる文章は、「自分が理解できて、実際に使えるレベルの英文」にすることが重要です。

ときどき、日本語をそのままAIに渡し、出力された英文をそのままコピー&ペーストして使っている人がいます。

でも、自分で意味が理解できない英文の場合だと、間違っていることが多いです。ひどいものだと He と She が間違っているという次元のものも有ります。

自分が理解出来ない英文を出力していては学習効果はほとんどありません。

AIに英作文を添削させるのであれば、あくまで自分が理解できる英文を出力させるのが大事です。

英作文は「書いて終わり」ではない。その英文を暗記するところまでやり切る

生成AIを使って英作文を出力してもらう──この使い方は、英語学習において非常に有効です。

しかし、そのまま英文を確認して終わりでは、せっかくの学習効果も半減してしまいます。

本当に力を伸ばしたいのであれば、英作文を音読・暗唱するところまでがセットと考えてください。

英作文は「声に出して覚える」復習をすることで初めて定着する

出力された英文は、自分が伝えたいことを英語で表現したものです。

だからこそ、それを繰り返し音読して口になじませることが重要です。

おすすめは、10回〜20回程度の音読。自分が書いた英文が元ネタですので、それほど時間をかけずに覚えられるはずです。

フィリピン留学やオンライン英会話と組み合わせるとさらに効果的

もしあなたがフィリピン留学中オンライン英会話のレッスンを受けているのであれば、出力された英作文を実際のレッスンで読み上げてもらうのもおすすめです。

講師に読んでもらった音声を録音し、あとから何度も聞き返すことで、正しい発音やリズムも一緒に習得することができます。

もちろん、自分で読み上げるだけでも効果はありますが、AIに音声を読ませる機能を使ってもOKです。

大事なのは、「書いて→間違いを添削されて→聞いて→音読して→覚える」という一連の流れを習慣化することです。


英作文を繰り返す中で語彙も自然に増えていく

暗唱までできるようになった英作文の中には、きっと新しく学んだ単語や表現が含まれているはずです。

これらはただ覚えただけではなく、実際に「自分で使った」単語になります。

だからこそ記憶にも定着しやすく、次の英作文や英会話でどんどん応用できるようになります。

学んだ表現は、次の英作文にすぐ使ってみましょう。この繰り返しが、英語力の確実なステップアップにつながっていきます。

注意: 生成AIを使う前に、まずは中学英文法をマスターしよう

AIを使った学習には、最低限の英文法の知識が必要です。

特に、英会話の基礎となるのは「中学3年生までの英文法」。この基礎がない状態で英作文・英会話の練習を始めても、表現の幅が狭く、うまく英文を組み立てられません。

(参考画像: 中学3年生が学ぶ仮定法過去。ここまでの知識は必要)

本格的に英会話に取り組みたい方は、急がば回れで、まずは中3までの文法をしっかり身につけるのがおすすめ。

真面目に取り組めば、オンラインレッスンやフィリピン留学などのサポートを活用して、3〜6ヶ月で十分に習得できます。

(中1英文法から半年のオンラインレッスン受講で、高校英文法までの学習を終えた方の学習体験談)

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実際に添削した英作文の例: 英検3級レベル

実際に英作文の添削をした例を最後に紹介します。

下記はフィリピン留学・語学学校バックワイズのマーケティングインターン業務でYumiさんが生成AIを使用せずに作成した英作文です。これを添削してみます。

I went to Maruge Seimen in the Philippines today.

I was surprised to see that there were other types of rice bowls besides udon, and most people on the menu were not eating udon.

This is because the only dish on the menu at Marugame in Japan is udon.

The udon here was as delicious as it was in Japan, so I want the locals to try it too.

Yumi

https://www.instagram.com/p/DKyjpD2JFF3/ ※その他の画像・動画もインスタグラムに有ります。

🌱 英検3級レベルの書き換え

中学3年生までに学ぶ基本文法を使って、シンプルに表現します。

I went to Marugame Seimen in the Philippines today.
I was surprised because there were many rice bowls, not only udon.
Many people were eating rice bowls, not udon.
In Japan, Marugame Seimen has only udon.
The udon in the Philippines was very good, like in Japan.
I want people in the Philippines to try it too.

ポイント:

  • 短くて明確な文を使用
  • 難しい文法や語彙は避け、「very good」などわかりやすい表現で構成

英検3級レベルであれば、難易度が低いので、英会話・英作文初級者が最初に英文暗唱するのに適したレベルです。


🌿 英検2級レベルの書き換え

高校英語のレベルを目指し、接続詞や語彙に幅を持たせた表現です。

I went to Marugame Seimen in the Philippines today.
I was surprised to find that they served not only udon but also different kinds of rice bowls, and most people were eating rice bowls instead of udon.
In Japan, Marugame usually serves only udon, so this was unexpected.
The udon I had in the Philippines tasted just as good as the one I usually eat in Japan.
I hope the locals will enjoy it as much as I do.

ポイント:

  • “not only A but also B” や “instead of” のような構文を使用
  • 複数の文をつなげて、より自然で滑らかな英語に

英検2級レベルだと、英作文で挑戦するには良いけれど、英会話で使用するにはかなり難易度が高い英文が出力されます。


🌳 英検準1級レベルの書き換え

準1級では、よりナチュラルでアカデミック寄りな英語が求められます。

I visited Marugame Seimen in the Philippines today, and I was quite surprised to discover that the menu included a variety of rice bowl dishes in addition to udon.
Interestingly, most customers seemed to prefer the rice bowls over the udon, which is quite different from the situation in Japan, where udon is usually the only item offered.
Despite being abroad, the udon I had there was just as flavorful and satisfying as what I’ve had in Japan.
I genuinely hope more locals will get the chance to try it and enjoy the authentic taste of Japanese udon.

ポイント:

  • より抽象度の高い語彙(e.g., flavorful, satisfying, genuinely
  • 関係代名詞・分詞構文などを活用し、文章に深みを与えている

英検準1級レベルの英文は、それこそ英検準1級レベルの試験対策など、特定の試験対策に適したレベルです。日常会話のレベルは超えています。

まとめ: AIに振り回されないことが大事

AIを使った英語学習はとても便利ですが、正しい使い方を知らないと「AIに振り回されるだけ」で終わってしまいます。

まずは中学英文法を固め、自分のレベルに合った英文、英検3級レベルの英文を使って、英作文・英会話の能力を伸ばしてきましょう。

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この記事を書いた人

Backwise共同代表(塾長)・学習カリキュラム担当。
「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」の著者。自らも英文法・発音のレッスンを日々提供しています。
フィリピン留学の世界に2012年から関わっています。

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