トランプ大統領に「理解できない」と言われた日本人記者の英語、その致命的な問題 – 日本人が知らない音節(Syllable)について

英語を一生懸命勉強したのに
トランプ大統領に
I really don’t understand you.
と言われたら心が折れる…
(投稿のURL) https://x.com/Koki_Shimazu/status/2028114495449764089
(以下の動画、クリックすると再生されます) 動画撮影時期: 2018年11月7日頃、米中間選挙で共和党(GOP)が下院を失い、上院で議席を増やした直後
日本人記者の英語、通じなかった最大の理由 – 日本語の音節で発音していた
この記者の方の英語には数多くの改善すべき点がありましたが、英語が通じなかった最大の理由は「英語を日本語の音節で発音していた」からです。
音節(syllable)について学んだことがない
一番駄目だなと思えたのは、この記者がおそらく音節(syllable)について学んだことないと思われた点です。
質問の中で「トレード」という発音がありましたが、Tradeと言いたかったのだと思われますが、トレードでは完全に日本語の発音で、英語では有りません。
トレードというカタカナ発音を英語で表記すると Trade ではなく Toreido または Toreedoになります。
もし英語で “Toreido” と発音してしまうと、ネイティブスピーカーには「トレード(trade)」ではなく、全く別の単語や、日本食の「照り焼き(Teriyaki)」のようなリズムの未知の言葉として聞こえてしまいます。
英語の trade を正しく発音するコツは、最初の「ト」から「オ」を抜き、最後の「ド」から「オ」を抜くことです。
カタカナであえて trade を正確に表現しようとすると「チュレイドゥッ」になります。太文字の箇所を強調して発音します。
このカタカナ表記でも通じない可能性が高いですが、まだましな発音にはなります。
英語のtradeは1音節、日本語のトレードは4音節
英語の trade と日本語の「トレード」では、音の構造が大きく異なります。
日本語:トレード(4音節)
- 構造: 子音+母音がセットになった音が4つ続きます。
- 内訳: 「ト(to)」「レ(re)」「ー(長音)」「ド(do)」
英語:trade(1音節)
- 構造: 母音を中心に、その前後に子音が重なっている一つの塊です。
- 発音: /treɪd/
- 解説: 英語では、二重母音の /eɪ/ が一つの核となるため、全体で1音節として扱われます。日本語のように「ト」や「ド」の後に母音(o)を補わず、最初から最後まで一息で発音します。
このように、日本語では4つのリズムで刻む音を、英語では1つのリズムで発音するため、日本人が英語を聞き取ったり発音したりする際の大きな壁となります。
音節(Syllable)を学んだことがない、意識していない日本人の英語は極めて通じにくい英語である
Twitter(X)上で印象に残ったコメント
日本人のサムライアクセントは通じない英語である
(引用投稿の中で印象に残ったもの)
悔しいなぁ
サムライアクセントはかっこいいだの、伝われは良いだの言う人は無責任だよ
国際フォーラムで日本人とインド人のインタビューだけに字幕がつけられたの見て本当に屈辱的だった
両者英語で喋ってたのに
お世辞ばかり真に受けないで、発音学ぶことに越したことはないですね・・・

初心者のうちに正しい発音やリズムを身につけるべき
語学の先生※に最初に言われたことは、初心者のうちに正しい発音やリズムを身につけるべきで、間違ったまま上級者になると、もう修正できず、どんなに勉強しても通じないということ。
この記者は英語を頑張って勉強したのだろうが、明らかに日本語のカタカナ発音で、日本人以外には聞き取りにくい。
※なぜかフランス語の先生ですが、英語の先生も同じことを言います。

FとHの発音が駄目。イントネーション/ストレスが言語と違いすぎる。
(補足)イントネーション・ストレスにはこの記事で述べている音節の概念が関わってきます。
まず、トランプの「I really don’t understand you.」が桁外れに失礼。外国人の英語が聞き取れないにしても、特に大統領たる者が公の場で、この言い方はあかん。「really」て強調までしとる。
記者の英語については「focus」を「ホーカス」は、さすがに通じない。
F → H の発音だけでなく、イントネーション/ストレスが原語と違い過ぎるので。

発音教材では音節についての学習は最初に出てくることも有る
日本人の英語発音を改善するためになにをすべきか知っている英語教師であれば、「日本語の音節」と「英語の音節」が全く異なるものであると最初の最初に教えます。
参考: 英語の発音をもう一度ひとつひとつわかりやすく。ではまさに最初に音節(syallable)について学びます。

参考: 最初のLesson1で音節について学びます。

英文法の学習だけでなく、発音の学習も必須 – 発音矯正レッスンを受講した人たちの感想
日本の学校教育では英文法・英文読解を重視しています。
近年では英会話・リスニングの割合が昔と比べて増えてはいますが、発音の学習については未だに手つかずです。
そのため、Hello, OKといった基本英単語すら正確に発音できない学生が大多数です。
学校の英語授業で毎週1時間で良いから、発音について学べる授業があれば良いのにと私は日頃から考えています。
そうすれば、この日本人記者のような辛く屈辱的な体験をする日本人の数をグッと減らすことが出来ます。
(Short動画)発音矯正レッスンを実際に受講した高校生たちの感想
※バックワイズではフィリピン留学とオンラインレッスンの両方で発音矯正レッスンを提供しています。
体験談1: 英会話で正確に英単語の発音できるようになるために必要な知識
(発音について学ばれた50代女性・初級レベルの方の学習体験談より)
今回発音の学習をすることで、「音の連結」「音の脱落」について知っておく必要があることが分かりました。
頭の中にあるカタカナ英語ではなく、正しい英語の音についての理解がないと英語を聞き取ることが出来ないです。
カタカナ英語から脱却するためには、まずは自分にどのような日本人特有の訛りがあるのか、頭で分かるのがすごく大事だと分かりました。
英語の音節(syllable)も意識するようになりました。英単語が長くなってくると、ちゃんと発音できませんでしたが、これはアクセントや音節を理解していなかったからだと分かりました。
発音は現地の講師と1対1でしか習得できないと感じました。本と音源では無理です。
何度も直される中で、OKが出たときのコツを掴みながら学んでいました。

体験談2: LとR、SとTHではなく、Oがちゃんと読めないのに驚かされた。
(発音について学ばれた50代男性・上級者の方の学習体験談より)
10年前のフィリピン留学の発音矯正レッスンで学んだ内容(シュワ ə の発音など)を、事前学習のオンラインレッスンで思い出してきました。
レッスンでは日本人が苦手とするLとR、SとSHではなく、私の場合には母音のOがちゃんと出来ていなかったことに気付かされました。
Copyの発音は「コピー」ではなく、「カピー KAA・ pee」だったなというのを思い出しました。
30年前に外国人が「温泉」を「AAN・sn」と読んでいて聴き取れなかったのも思い出しました。
英語の発音は教材を読んでいるだけだと、そこまで意識していませんでした。他人から指摘されることで、強烈に意識に残りました。

補足資料: 動画の背景を理解するための解説
ここからはおまけです。冒頭の動画をより深く知るための解説です。
動画下に書かれている英文の解説

【1】 “TRUMP (V) SPEAKS (Conj) AS (S) GOP (V) LOSES (O) (the) HOUSE, / (V) GAINS / (M) IN (the) SENATE”
「共和党が下院で敗北し、上院で議席を伸ばす中、トランプ氏が演説」
- GOP
- 発音記号: / ˌdʒiː.oʊ.ˈpiː /
- フォニックス表記: GEE-OH-PEE
- 英和辞典の定義: 共和党(Grand Old Partyの略)
- 英英辞典の定義: A traditional nickname for the Republican Party in the United States.
- 解説: アメリカの二大政党の一つである共和党の別称です。
- House
- 発音記号: / haʊs /
- フォニックス表記: HOWSS
- 英和辞典の定義: (米国の)下院(House of Representatives)
- 英英辞典の定義: The lower house of the United States Congress.
- 解説: ニュースの見出しでは冠詞の “the” が省略され、大文字で表記されるのが一般的です。
- Senate
- 発音記号: / ˈse.nət /
- フォニックス表記: SEN-it
- 英和辞典の定義: (米国の)上院
- 英英辞典の定義: The smaller upper assembly in the US Congress.
- 語源: ラテン語の「長老会(senatus)」に由来します。
- Gains
- 発音記号: / ɡeɪnz /
- フォニックス表記: GAYNZ
- 英和辞典の定義: 獲得する、増す、議席を伸ばす
- 英英辞典の定義: To obtain or win something, especially an advantage or an increase in number.
- 解説: この文脈では、選挙において議席数を増やすことを意味します。
動画を観たフィリピン人の英語教師による見解
普段日本人に英語を教えているフィリピン人の英語教師にもこの記者の英語を分析してもらいました。
分析の要約
国際的な場で情報を伝える記者には、中立的で理解されやすい英語が重要だと筆者は主張している。
今回の記者の英語には母語干渉が強く、後半は理解が難しかったという。
一方で、第二言語で発言した勇気と職務を全うしようとした姿勢には敬意を示している。
分析全文
日本で放送メディアの記者になるためにどのような資格が必要かは分かりません。
しかし、フィリピンでは、特に国際的な場でインタビューを行う場合、記者は一般的に中立的なアクセントを持つことが期待されています。
もちろん、私たちにも地域特有のアクセントがあり、それを完全になくすのが難しいことは理解しています。
また、母語話者同士であっても、アクセントや方言、コロケーション(語の自然な組み合わせ)の違いによって互いに理解できないことがあります。コミュニケーションの行き違いは誰にでも起こり得ます。
しかし、幅広く国際的な視聴者に情報を届ける職業においては、中立的で広く理解されやすい英語を使うことが不可欠です。これは英語教師としてだけでなく、ニュースを受け取る視聴者の一人としてもそう思います。
とはいえ、英語で情報を収集・発信する仕事に就くのであれば、放送局が記者に対して適切な研修と準備を提供する必要があると考えます。
同時に、その記者がトランプ氏とのあの状況を経験しなければならなかったことには同情します。
英語教師の視点から見ると、彼の発話には母語干渉(L1 interference)がかなり顕著です。/h/ と /f/ の発音、そして強い巻き舌の /r/ に問題が見られます。
また、CVCV(子音‐母音の繰り返し)パターンが連結発話(例:「Will you…」のような表現)に影響しているようにも思われます。特に質問の後半部分では母語干渉が強く、私にとっても理解が難しくなりました。 ※これがこの記事で書いてきた音節(syllable)についての指摘です。
私は10年以上英語を教え、日本人の英語を聞いてきましたが、それでも最後の部分は聞き取るのが困難でした。
前半は、聞き取れた単語から文脈を推測できたため理解できましたが、質問が進むにつれて理解はますます難しくなりました。
ニュージーランド出身の別のネイティブスピーカーにも意見を求めたところ、「最初は理解できたが、途中から『え?』と思い、もう分からなくなった」と言っていました。
それでもなお、母語ではない言語で発言した彼の勇気には心から敬意を表します。
トランプ氏のような人物を相手に、国際的で緊張感の高い場で第二言語を使って責務を果たすには大きな自信が必要です。困難がある中でも冷静さを保ち、最善を尽くそうとした姿勢は称賛に値します。
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