「時短学習」を売りにした詐欺的な広告に要注意
SNSで英語学習に関する広告を見ていると、うんざりするくらいに詐欺的な広告が頻繁に登場してきます。
英語学習の専門家から見て「この広告の宣伝文句をそのまま信じてはダメだろう…」と思えた広告についてまとめました。
この記事で紹介している詐欺的な広告を出している英語教育サービス企業がまともな教育サービスを提供しているとはとても思えません。そのため読者が詐欺的なサービスに引っかからないように、注意喚起の意味でこの記事を作成しました。
また記事後半では悪徳商法に引っかからないために、悪徳商法に共通する「インスタント(即座・即席・すぐに出来る)」のコンセプトについて紹介しています。
詐欺的な広告
最初に紹介するのは明らかにレッドカード。こんな明らかな嘘な広告をよく出しているなと呆れる広告で、もちろんその広告内容をそのまま信じてはいけない詐欺的な広告です。
「1日1時間で英語力は伸びる!」 ※ただしどれほど伸びるかは明言しない
「1日3時間の勉強は大変すぎる…」と考えている方々に対しては下記のような「時短学習」を売りにした広告が表示されて、そしてついついクリックしてしまうかもしれません。


これら「時短学習」を売り物にしたSNS広告の例です。
しかしながら、1日1時間の英語学習を半年続けても英語力はほとんど伸びません。
こういった「時短学習」を売りにした広告は詐欺的な広告ですので、引っかかってはダメな広告です。
不誠実な語学学校・語学スクールでは「1日1時間の学習でも英語力は伸ばせる」といった「時短学習」を売り物にしていますが、そのような短期間で劇的に英語力を伸ばすことが出来る「時短学習」は存在しません。
英語教育に一度でも真摯に向かいったことがあれば、こういった「時短学習」が実現不可能なことは知っています。
(時短学習に関するTwitter投稿)…これも何度も書いてますが、小学校低学年でアメリカに移住した子供でも、英語が完全に追いつくのは家庭教師をつけて10年後です。大人がちょっと齧って30日でペラペラのわけないでしょ。
https://twitter.com/NYCenglessons/status/1450478207686397953
こういった広告では具体的にどれだけ英語力が伸びるのかが明言されていないのが狡猾だなと思います。
1日1時間の英語学習をすれば英語力はたしかに伸ばせます。驚くほどは英語力は伸びませんが。
「3ヶ月でアメリカ駐在できる英語力になれました。」
こちらは「1日1時間で英語力が伸ばせる」よりもさらにひどい広告。

日本で働きながら英語学習を3ヶ月する場合、毎日3時間の勉強をしても100時間弱の学習時間しか確保出来ません。
現地で1日中英語に囲まれた生活を送っても3ヶ月ではほとんど喋れるようにならないの、わずか100時間の学習でアメリカ駐在が出来るまでの英語力は身に付けられないです。
「学習開始時点の英語力」「3ヶ月のサービス受講後の英語力」の両方が書かれていないのが問題です。これでは「3ヶ月のサービス受講でどれだけ英語力を伸ばせたのか」が一切分かりません。
サービス開始前後を比較する事例として、フィリピン留学・バックワイズの事前学習サービスを受講された方の体験談と比較します。
開始時点の英語力: 中学英文法(中2レベル)から学習開始
6ヶ月の受講終了時に使用していた教材: 高校英文法をひとつひとつわかりやすく。改訂版、5文型・時制・受動態まで終了。写真は後半に出てくる仮定法過去完了の基礎となる過去完了形・大過去について
(参考・バックワイズの事前学習体験談)中学英文法から英語を学び直し、長年の英語アレルギーを解消されたYukiさん
「学習開始時点の英語力」「3ヶ月のサービス受講後の英語力」の両方が書かれていない広告は情報が不足しているため、適切なサービス内容かどうか判断できない、ということを心に留めておきましょう。
6日間の合宿でTOEIC100点アップを目指す!
次は具体的な数字が入っているけれど、実はほぼ達成不可能な目標が書かれている広告。

「6日間の合宿でTOEIC100点アップを目指す!」
⇒仮に1日10時間の勉強をした場合、6日間で60時間になります。
60時間でTOEIC100点アップが可能かというと無理です。ざっくりとした目安でTOEICは100点アップさせるのに、少なくとも200-300時間の学習が必要だからです。
もちろん中には「大学入試対策などを通じて基礎学力がすでに十分あるが、TOEIC試験慣れしていないので本来の実力よりもかなり低い点数になっている」というような点数アップ直前の人もいるかと思います。こういう方は可能です。
ただ、大多数の普通の参加者は100点アップは無理です。
また、この広告も「学習開始時点の英語力」「3ヶ月のサービス受講後の英語力」の両方が書かれていないし、「TOEIC100点を上げられる根拠となる情報」が不足しているので、適切なサービス内容かどうか判断できません。
(参考)TOEIC100点を上げるために想定される学習時間
【TOEIC LR試験 100点を上げる勉強時間の目安】 |
---|
200点から300点 ⇒ 300〜400時間 ※英語力ゼロの状態から開始する場合、さらに時間がかかります。 |
300点から400点 ⇒ 300〜400時間 ※345点以下の方はさらに時間がかかる可能性有り。 |
400点から500点 ⇒ 250〜300時間 |
500点から600点 ⇒ 250〜300時間 |
600点から700点 ⇒ 250〜300時間 |
700点から800点 ⇒ 500〜600時間 |
800点から900点 ⇒ 500〜600時間 |
(補足)…専門家の指導がなく独学で学習計画を立てた場合、ほとんど確実に迷走して無駄な時間を使うことになります。
独学では不適切な学習方法、不適切な学習参考書の使用が頻繁に発生します。迷走する場合、この表で書かれている時間の1.5~2倍はかかる可能性が有ります。
たった3ヶ月でTOEICを200点以上(アップ)。(TOEIC)800点の壁を越えたい。
こちらも1つ前の広告と似たような内容の広告。

たった3ヶ月でTOEICを200点以上(アップ)。(TOEIC)800点の壁を越えたい。
これはTOEIC600点開始で3ヶ月でTOEIC200点アップさせて、TOEIC800点を突破するという広告でしょうか。
この学習目標はかなり実現困難な目標です。
3ヶ月ですと、1日3時間の勉強を30日続けて90時間。そして90時間×3ヶ月=270時間です。
ざっくりとした目安でTOEIC600点からTOEIC800点に上げるまでに必要な時間は「750時間~900時間」です。
270時間の学習では学習時間が全然足りないので、TOEIC600点からTOEIC800点に上げるのは無理です。出来る人は1,000人に1人くらいはいるかもしれませんが、大多数の人には無理です。再現性はないと言えます。
すでに述べたように、「大学入試対策などを通じて基礎学力がすでに十分あるが、TOEIC試験慣れしていないので本来の実力よりもかなり低い点数になっている」というような点数アップ直前の人だと3ヶ月でTOEIC200点アップは可能です。ただ、こういう人は数百人~1,000人に1人くらいの割合でしかいません。
微妙なラインの広告
詐欺的とまではいかないけれど、次に紹介するのは必要な情報が欠けている広告です。
必要学習時間50%削減

「必要学習時間 50%削減」とありますが、具体的な数字がないので微妙です。いったい何と比較して50%削減なのかと。
「目標が何で」「その目標達成に本来何時間必要であるか」の情報がほしいです。これらの情報が欠けている状態で「50%削減」と言われても意味が分かりません。
採用率0.68%の選びぬかれたプロの英語コーチ

「採用率0.68%の選びぬかれたプロの英語コーチ」採用基準が不明確なので、これでは優秀なコーチが在籍しているか不明です。
こういった社内のデータは自分たちで自分たちでいくらでも操作できるので、そういう点でも微妙です。
まともな内容の広告
ここまで詐欺的な広告ばかりでしたが、ではまともな広告はどういうものかも見てみましょう。
2ヶ月でTOEICスコアを100点以上あげる方法

すでに述べたように、ざっくりとした目安でTOEICは100点アップさせるのに、200-300時間の学習が必要です。
1日3時間の学習を2ヶ月続ければ、勉強時間は「1日3時間×2ヶ月=180時間」です。
英会話・英作文や発音学習などを切り捨てて、TOEIC試験対策に特化してこの180時間を使えば、100点アップは十分実現可能です(楽ではないですが)。この広告は嘘を言っていないです。
プレゼンスはこの記事を書いている筆者と考え方も似ているので、おかしな広告を出してくることはありません。
詐欺的な広告に引っかからないためにどうすれば良いか。
悪徳商法に共通するのは「インスタント(即座・即席・すぐに出来る)」
悪徳商法に共通するのは「インスタント(即座・即席・すぐに出来る)」であることです。
「インスタント」とはどういうことかというと、「これさえすれば大丈夫。短期間であなたは苦労することなく変われる」というものです。
この記事冒頭で紹介した詐欺的な広告にはこの「インスタント」な要素が入っていることが分かることでしょう。
まずは「極端な時短」を前面に出している広告には注意しましょう。
1日1時間の英語学習で英語力が劇的に向上することは決してありません。TOEIC LR試験の点数も1-2週間頑張ったからといってそこまで一気に点数は上げられないです。
「インスタント」とは真逆の広告…3ヶ月で750時間の勉強
ではここでさらに「インスタント」とは無縁な広告を紹介します。
「3ヶ月の語学留学でTOEIC200点を上げて、マンツーマンレッスンで英会話・英作文が出来るようになる」という学習カリキュラムを売り文句にしているフィリピン留学・バックワイズ。
この広告も一見すると「3ヶ月」という短期間で成長できるので「インスタント」に思えるかもしれません。
ただし、この3ヶ月の留学期間に750時間の勉強をする必要が有ります。平日は1日10時間、土日も8時間勉強して1週間あたり58時間。それを13週間続けると750時間の勉強時間※を確保出来ます。
※(勉強時間に関しての補足)フィリピン留学・バックワイズはTOEIC試験対策に加えて、英会話・発音矯正のレッスンも加わっているため、TOEIC試験対策に特化した語学学校よりも学習時間が多くなっています。
下記は750時間の学習を超えて、4ヶ月のフィリピン留学で1,000時間以上の学習をし、TOEIC450点⇒TOEIC730点 ※280点アップ を実現された方がこなした教材です。

このように1日1時間の勉強を2年間行った場合(1時間×365日×2年=730時間)を上回る英語学習を3ヶ月の圧縮した期間に行います。ここまですることによって初めて短期間に英語力を高めることが出来るのです。
1点補足すると、日本の生活環境とは異なりフィリピン留学では家事をする必要がないので、この平日1日10時間もの学習が可能になっています。

広告を見る際には、その広告で書かれていることが本当に可能かどうかも常に確認するようにしましょう。例えば、TOEIC200点アップさせるためには少なくとも400-600時間※の学習時間は必要です。
そもそも1日1時間程度の学習で英語ができるようになるのであれば、英語が出来る日本人はもっともっとたくさんいるはずです。
「時短学習」のような楽して結果が出る「インスタント」な方法はないので、この記事で紹介したような詐欺的な広告に引っかからないように注意下さい。
語学学校バックワイズ・フィリピン留学の説明会申込み
「3ヶ月の語学留学でTOEIC200点を上げて、マンツーマンレッスンで英会話・英作文が出来るようになる」を方針とするフィリピン留学・語学学校バックワイズ。
語学学校バックワイズでは3ヶ月の留学で750時間の学習をこなせます。
語学学校バックワイズでのフィリピン留学についてより詳細を知りたい場合には、下の画像のリンク先記事よりバックワイズ・オンライン説明会にお申し込み下さい。

コメント
コメント一覧 (3件)
[…] […]
[…] […]
[…] […]