英語力を伸ばせない「長時間マンツーマンレッスン」を語学学校や留学エージェントが勧める理由

目次

なぜ英語力が伸びない「長時間マンツーマンレッスン」が蔓延しているのか

ここまでは「長時間マンツーマンレッスンでは英語力が伸びません」という話でした。

第2言語習得論(SLA)で推奨されている「大量のインプットと少量のアウトプット」と真逆の方針、「インプット学習はなし。大量のアウトプット学習のみ」では英語力が伸びるわけがない、という話でした。

ではなぜフィリピンにあるほとんど全ての語学学校が「インプットはなし。大量のアウトプットのみ」という「1日6~8時間の長時間マンツーマンレッスン」をサービスとして提供するようになったのかを、「営業上の理由」と「学校運営上の理由」の2点からネタばらしをしていきます。

本記事は下記の記事の内容を踏まえたものですので、まだ読まれていない方は先に下記の記事内容を確認下さい。

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営業上の理由…売りやすい「格安・長時間マンツーマンレッスン」という商品

フィリピン留学は長時間のマンツーマンレッスンを格安で受けられることで注目されました。

フィリピン留学は長時間のマンツーマンレッスンで注目された。

フィリピン留学は、もともと「格安な値段で長時間マンツーマンレッスンを受けられること」で注目されました。

例えば下記のような営業文句を留学エージェントや語学学校は使うことが有ります。

(フィリピン留学に関わる留学エージェント・語学学校の宣伝文句)
日本でマンツーマンレッスンを1時間受けようとすると、1時間で1万〜1万5千円はかかります。高いですよね。

しかしフィリピンであれば、1日8時間のマンツーマンレッスンを受けても格安の料金です。1日8時間マンツーマンレッスンを受けるとなると、1週間で40時間ですよね。それが4週間、1ヶ月で160時間になりますが、料金は「1ヶ月でなんと25万円」です。日本でマンツーマンレッスンを160時間受けるとなると、160~240万円はかかるので、10倍近くお得です。

しかもこの料金には住居費・食費・洗濯代が含まれています。更に語学学校にはメイドがいるので、他の家事も一切する必要がありません。王様(お姫様)のような暮らしをフィリピンですることが出来ます。

こういえば売れるのがフィリピン留学です。

一見するととても魅力的な宣伝文句ですよね。特に英語学習についてよく分かっていないお客さんほど、この宣伝文句に引っかかります。

そしてこういった「格安な値段で長時間マンツーマンレッスンを受けられる」というメリットを強調して、2010年頃から右肩上がりでフィリピン留学業界は成長してきました。

「値段が10倍お得だからといって、英語力が10倍伸びる」わけではない

ただし、コロナ禍前の2017年頃にこの右肩上がりの成長は止まりました。

なぜフィリピン留学市場が伸び悩んだかといえば、普通の人達が期待してたほど「長時間マンツーマンレッスン」だけでは英語力が伸びないからです。

ここで先程の留学エージェント達の宣伝文句を見直してみると、「値段が10倍お得だからといって、英語力が10倍伸びる」とは言っていないことが分かります。

たとえマンツーマンレッスンを4週間で160時間受けたからいって、それだけでは英語力は伸びません。

1時間のマンツーマンレッスンを有効に活用するためには、最低でも1時間の予習・復習を行う必要が有ります。

そして出来れば2-3時間の自習時間があった方が望ましいです。第2言語習得論(SLA)で推奨されている時間配分だとさらにインプット学習の割合が大きく、1時間のマンツーマンレッスンに対して2時間~4時間の予習・復習が推奨されています。

英会話経験のない人の場合だと、長時間マンツーマンレッスンで英会話をたくさん出来ることが最初の2~3週間は新鮮に感じます。

しかしそれ以上の期間になってくると、「いつも同じ表現ばかり使っているな」「新しい英単語・英語表現を学べていないな」とインプット学習の不足に否が応でも気づいてきます。

「1~3週間の観光のついでに語学留学をするか」くらいの緩い留学生であれば、長時間マンツーマンレッスンでも満足度は高いです。

4週間以上のフィリピン留学ではインプット学習が必須

しかし「真剣に英語力を高める必要があり」、かつ「4週間以上の中長期留学をする」場合には、インプット学習(マンツーマンレッスンの予習・復習)は必須です。

繰り返しになりますが、予習・復習の時間を取ることなく長時間マンツーマンレッスンを毎日受けても「英語力は伸びない」のです。

現に長時間マンツーマンレッスンだけで、英語力を劇的に高められた人は一人もいません。

特に初級者で英語力を高めることが出来た人はフィリピン留学において存在しません。これは断言出来ます。私はフィリピン留学に長く関わっていますが、1人も初級者の成功例を見たことが有りません。

第2言語習得論(SLA)で効果があるとされている「大量のインプットと少量のアウトプット」と真逆の方針、「インプットなし。大量のアウトプットのみ」「予習・復習の時間を確保できないくらいの長時間マンツーマンレッスン」で英語力を高められるわけが有りません。

そもそも「長時間のマンツーマンレッスン」を生徒がなぜ受けるのかというと、本来は「英語力を伸ばす」ためだったはずです。でも、「長時間マンツーマンレッスン」では予習・復習の時間を確保出来なくて、英語力は伸ばすことが出来ません。

「格安料金で長時間のマンツーマンレッスンを受ける」という本来英語学習の「手段」の1つに過ぎないことが、いつの間にか「フィリピン留学の目的」になってしまったことが、そもそもおかしい話なのです。

こちらの記事で紹介した「捨てレッスン」の中で、「眠気を抑えるために、立ちながらレッスンを受ける」というものがありました。これはまさに英語力を上げるという「目的」と、マンツーマンレッスンを受けるという「手段」が逆転している典型的な例だといえます。

「英語力を効率よく伸ばそう!」という考え方ではなく、「損をしないように、いっぱいマンツーマンレッスンを受けましょう」という発想になってしまっています。

この場合、「眠くてレッスンに集中出来ないのであれば、仮眠を取って休憩する。仮眠後に集中力が回復した状態でレッスンを受ける」というようにした方が、無理して長時間マンツーマンレッスンを受け続けるよりも英語力は伸ばせます。

運営上の理由…長時間マンツーマンレッスンを導入すれば「インプット学習の内容」を考える必要なし

「長時間マンツーマンレッスン」を導入していないバックワイズでは、学習カリキュラムで「インプット学習の内容」を指定しています。

長時間マンツーマンレッスンを語学学校が重宝する2番目の理由としては「運営上その方が楽だから」という理由です。

第2言語習得論(SLA)で推奨されている「大量のインプットと少量のアウトプット」の学習カリキュラムを実現するには、マンツーマンレッスン以外の時間に行う「自習学習の内容」について考えなければいけません。

「自習学習の内容」については英語学習についてそれなりに理解していないと考えつかないです。そして、語学学校の経営者の多くは「英語教育に精通していない人間」が多いため、「大量のインプットと少量のアウトプット」の学習カリキュラムを実現する方法が分かりません。

日本にある英語学習サービスと比べると、フィリピン留学業界の経営者には「英語が出来ない」「英語学習に関して無知な人達の割合が大きい」です。

自分(語学学校経営者、留学エージェント)が英語力が低いことを広言している人すらいます。このような非常識がまかり通っているのはフィリピン留学業界だけです。

そういった英語力が低い人達が運営している語学学校では、「自主学習の内容」について考える必要のない「長時間マンツーマンレッスン」を導入します。

こうすることで、レッスンの内容をフィリピン人講師に丸投げすることが可能になります。

そして、フィリピン人講師が独自の考えに基づいて提供している「英語学習上の効果がほとんど全くない、中身のない雑談レッスン」であっても、留学経験がなく、マンツーマンレッスンについてよく分かっていない、かつ英語力が低い日本人は満足する傾向があります。

例えば、「あなたは彼氏(配偶者)とどこで出会ったの?」というようなガールズトークなどの雑談を通して「フィリピン人と異文化交流できた」という点に喜びを感じてしまうからです。

目的意識に乏しい、また語学留学についてよく分かっていない生徒の場合、こういった雑談の楽しさに流されて、英語力の向上について後回しにする傾向が有ります。

「大量のインプットと少量のインプット」を行う学習カリキュラムで結果を出すのは難しい

「長時間マンツーマンレッスン」が非効率的な学習形式であることは、英語学習に取り組んだことのある人であれば「常識」といっても過言ではありません。

例えば、Google で「語学学校の活用方法」と検索すれば、「予習・復習は絶対にしろ」と書かれた数多くのサイトに出会います。

英語力が伸びないことが分かっている長時間マンツーマンレッスンをそれでも多くの語学学校が提供し続ける理由は、「英語力を伸ばす、結果を出す学習カリキュラム」を作れないからです。

第2言語習得論(SLA)が推奨する「大量のインプットと少量のアウトプット」を実現する学習カリキュラムの作成は、かなり難易度が高いものです。なぜなら「生徒の成績が伸びた」という目に見える結果を出す必要があるからです。

大量のインプット学習(予習・復習)を踏まえた上での、アウトプット学習(マンツーマンレッスン)という学習形式を導入するためには、「学習に必要となる適切な教材を選ぶこと」「教材を自習学習でどのように使用すれば良いのか」「自習学習とマンツーマンレッスンの内容を連動させる」といったことを考える必要があります。

これらは英語学習について相当詳しくなければ、考えつくことは出来ません。ましてや、フィリピン人講師に丸投げすることはできません。

結果を出せなければ、生徒から「大量のインプット学習って何のためにやってるの?」「授業をやらずに生徒を放置してるだけでしょ」といった苦情が出てきてしまいます。

それに対して、長時間マンツーマンレッスンを提供していれば、生徒はレッスン自体は受けられるので、たとえそれが学習効果のないレッスンであっても満足する傾向が有ります。

この場合、生徒はマンツーマンレッスンを行っている「フィリピン人講師の人件費」に対して授業料を払っているのだから、納得感が有ります。たとえそのレッスン自体が英語力をほとんど伸ばさないものであっても、フィリピン人講師達と楽しく話せればそれで良いのです。まるでキャバクラのようだなと、私個人は思っていますが。

話を語学学校バックワイズに戻します。

語学学校バックワイズには「大量のインプットと少量のアウトプット」を実現する学習カリキュラムがあります。バックワイズには、「誰がやっても同じように勉強すれば同じだけ英語力が伸びる」という「再現性のある学習カリキュラム」があります。そのため、常に「生徒の英語力が伸びた!」という結果を出し続けることが可能です。

他の語学学校でも、英語力を伸ばした生徒の体験談を紹介しています。でもこれは「生徒のもともとの英語力が高かった」「その留学生がたまたま個人として優秀だった」というもので、再現性のないものばかりです。

第2言語習得論(SLA)が推奨する「大量のインプットと少量のアウトプット」の学習カリキュラムを導入して、再現性のある結果を出し続けている語学学校は2022年現在バックワイズだけです。

さいごに

バックワイズの学習カリキュラムは塾長の柴田 @HAL_JがNew Yorkに留学中に行っていた英語学習法を改良したものです。

マンツーマンレッスンの受講を最大3時間までにしているのは、それ以上受講しても英語力が伸びないのを実体験として知っているからです。

もし私(柴田)がバックワイズのレッスンを受けるのであれば、2コマで十分だと考えています。2コマの内訳は「1. 発音矯正レッスン」「2. 英会話・英作文レッスン」です。この2コマのマンツーマンレッスンのための予習だけで、1日6時間の予習学習が必要になります。

そしてまた、この記事を読んでいるみなさん自身も、本当に「1日6時間~8時間のマンツーマンレッスン」で英語力を伸ばせるのかどうか考えてみて下さい。

フィリピン留学業界に関わって10年近くになりますが、「1日6時間~8時間のマンツーマンレッスン」で英語力を伸ばせた留学生を私は本当に1名も知らないです。

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この記事を書いた人

Backwise共同代表(塾長)・学習カリキュラム担当。
「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」の著者で、セブ島にあった語学学校サウスピークの共同創業者でした。

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