TOEIC L&Rテスト Part5の英文法問題対策、「炎の千本ノック!シリーズ/著 中村澄子」の使用方法

TOEIC LR試験 Part5、Part6の英文法問題対策の参考書では老舗シリーズである千本ノックシリーズを使った学習方法を本記事にまとめました。
千本ノックシリーズは毎年1冊新しいものが発売されているので、新しいものから順番に着手していきましょう。
2025年12月末時点で、最新版は2024年の春に発売された1日1分!TOEIC L&Rテスト 炎の千本ノック! 2024-2025年版 (単行本)です。

炎の千本ノックシリーズが対象とする学習者のレベル
高校英文法を理解していない人は門前払い
千本ノックシリーズはすでにReading Partが300点以上の学習者が独学をするのに向いている教材です。中級者以上の教材です。
最低でもTOEIC Reading Partで250点はないと独学で読み解くのは難しいです。
具体的には下記の回答の解説文を読んで意味が全て理解できる方にお勧めの教材です。なお、説明文は易しめのものを選んでいます。
(説明文の例) 補語になるのは名詞か形容詞です。そのため、補語には不定詞の名詞的用法が使われている選択肢が正解です。
(説明文の例) 文章の構成が「主語+他動詞+目的語+( )」となっています。そのため、( )には他動詞を修飾する副詞が入ると分かります。
基本的な英文法用語の定義が分かっていない場合だと「補語?副詞?」となって回答の解説文が理解できません。
こういった説明文が理解できないと千本ノックシリーズは使いこなすことが出来ません。
実際のところ、千本ノックシリーズの学習者の成功体験談を読んでみても、高校英文法未満のレベルで英語力を伸ばせた人達がほとんど全く登場しません。
千本ノックは中上級者・上級者向けの教材です。
高校英文法の内容を一通り理解していない場合には、門前払いの教材と言えます。
高校英文法を理解するためにお勧め参考書
もし現時点で高校英文法の理解が不足している場合には、まずは下記記事を参考に高校英文法を一通り学習ください。

入門英文問題精講: 英文法の専門用語がよく分からない人向けの補助教材
高校英文法の参考書を一通りこなしたけれど、千本ノックシリーズの解説がまだまだ理解できない場合には、下記の大学入試参考書に取り組むのを強くお勧めしています。
千本ノックでは説明が足りていない英文法について体系的に深く学ぶことが出来ます。
急がば回れになりますが、時間的な余裕がある人は大学入試対策の参考書で基礎固めをした方が良いです。

本書はTOEIC LR試験 Reading Part 250-350点の方々に特にお勧めです。
下記の英文法用語を読んで、何を言っているのかすぐに理解できない場合にお勧めです。
- 現在分詞/過去分詞の後置修飾
- 自動詞+前置詞+名詞→他動詞+名詞(目的語) ※厳密にはこれはイコールではないです。
- 前置詞+名詞→形容詞句、もしくは副詞句となり修飾語になる。
入門英文問題精講の詳細については下記の別記事にまとめているため、そちらを確認ください。

千本ノックシリーズに取り組むタイミング
高校英文法を理解している、Reading Partが300-400点の学習者が独学をするのに向いているのが千本ノックシリーズです。
TOEIC LR公式問題集よりも長めの例文が用いられており、解説も公式問題集より詳しい点が良いです。
学習順序としてはTOEIC公式本でPart6, Part7の長文問題に入る前に、英文法の不明点を無くすために取り組むのがお勧めです。
Part5の英文をきちんと品詞分解して読めるようになれば、残りのPart6、Part7の英文も問題なく読めるようになりますので、この順番がお勧めです。
千本ノックシリーズ 実際に取り組む順序
千本ノックシリーズは毎年1冊新しいものが発売されているので、新しいものから順番に着手していきましょう。
2025年12月末時点で、最新版は2024年の春に発売された1日1分!TOEIC L&Rテスト 炎の千本ノック! 2024-2025年版 (単行本)です。

ただ、これまでにTOEIC LR試験対策を本格的にしたことがない学習者の場合には易しめの教材、2022年に発売されたTOEIC700点レベルから着手するのがお勧めです。
易しめの「700点レベル」

問題の難易度は下記の通りです。TOEIC700点レベルですので、易しめの問題が多いです。

難しめの「860点レベル」
700点レベルが終わったら、次は860点レベルに取り組みましょう。

語彙が難しめです。下記の問題の答えが分かる場合には860点レベルから着手しても良いと思います。

860点レベルは飛ばして公式問題集に着手するのも有り
TOEIC860点、900点といった高得点を目指していない場合には700点レベルを1冊終わらせた段階で公式問題集での学習を開始しても良いです。
Part5対策だけでなく、その他のListening Part1 – Part4, Reading Part6とPart7についても一通り学んでTOEIC LR試験に慣れた方が点数は上がりますので。
そして、TOEIC750点を越えたくらいで再び千本ノックシリーズに着手すると良いでしょう。

千本ノックシリーズ やりこみ目標、学習の到達目標
千本ノックシリーズのやりこみ目標、学習の到達目標としては具体的には、下記画像の英文を20秒以内に読めて、問題を解けるようになる必要が有ります。
1問当たり20秒以内で解くことが出来れば、TOEIC Reading Partの問題も最後の5-15問を塗り絵することなく、終わらせられるようになります。

この問題は複合関係副詞を選択する問題です。大学入試レベルの知識があれば、特に問題なく解けるものです。
以下、解説を書き込んだ画像になります。※下の画像への書き込みはハルヨン/バックワイズのTOEIC900点突破/英会話上級クラスで使用したものです。

英文3行目の()括弧の後ろに続く文章が完全なものであるため、 you are looking for an adventure. に欠けている要素が無いため、正解は (D) のwhenever (~する時はいつも。複合関係副詞)になります。
なお、(B)の複合関係代名詞であるwhoever (~する人は誰であれ)は後ろに続く文章の主語が欠けていないと選択出来ません。
この関係副詞と関係代名詞のどちらかを選ばなければならないかに関しても、高校英文法(高校3年生レベル)の知識があれば簡単な問題になります。
(参考: 高校英文法で複合関係詞について扱っているページ)

千本ノックシリーズはPart5の対策本ですが、書かれている英文は本番試験の英文よりも長くなっています。
本書の問題をTOEIC試験本番を意識して、1問20秒以内で解けるようになることを目標に解いていきましょう。
千本ノックシリーズ 具体的な学習方法について
以下、詳細な千本ノックシリーズの具体的な学習方法になります。
学習手順1. 制限時間を意識しながら問題を解く。
重要な注意点を最初に挙げると、本書はPart5の問題集ですが、解きっぱなしで終わってはいけません。
まずは問題集として本書を解きましょう。本番の試験を想定して、1問20秒以内に解くことを意識して下さい。
TOEIC700点前後の人でも「20秒以内」はかなり厳しいですが、最終的には「20秒以内」で解けるようになる必要があります。そうでないとReading Part最後のPart7まで問題を解き終えることが出来ませんので。
また1問毎に問題を解いて回答を確認するのではなく、TOEIC試験本番を想定して、1章毎、30問前後をまとめて解くのがお勧めです。
学習手順2. 答え合わせをする。問題をどうして間違えたのかを分析する。
解けなかった問題は必ず解説を読み、どうして解けなかったかを、しっかりと理解しましょう。
そして問題を下記の4通りのどれか分類しましょう。(4つの区分け)
- 区分け1. 正解になる道筋を論理的に理解しており、実際に正解に出来た。
- 区分け2. 正解になる道筋を論理的に説明できないが、正解した。
- 区分け3. 正解になる道筋を論理的に理解していたが、不正解を選んでしまった。
- 区分け4. 正解になる道筋を理解しておらず、不正解を選んでしまった。
この4分類で特に重視して取り組むべきは 「区分け2」と「区分け3」です。この2つの分類を確実に得点源に出来るように、解説を読み込みましょう。
「区分け4」はその後に着手しましょう。「区分け1」に関しても全く取り組む必要がないわけではなく、より早く確実に解けるようになるためにはやはりやり込む必要があります。
結局は全ての問題に取り組む必要がありますが、自分がどうして間違えたのかを上記4つの分類で分けて、不正解の原因を理解しましょう。
例えば下記の問題であれば、4つの前置詞から適切な前置詞を1つ選択し、かつ他の3つの前置詞がなぜ選ぶことが出来ないのかまで解説できるようになるまで読み込む必要が有ります。

この問題では for, by, at の使い分けを問われており、ここで回答者を引っかけようとしています。
正解は1日1分! TOEIC L&Rテスト 炎の千本ノック! これなら続けられる英語の筋トレで確認ください。
すでに述べたように、千本ノックシリーズの解説はそれほど丁寧ではないため、初級者があの解説文を読むと「上から目線」「説明不足」という感想を抱く人が多いようです。
ただし、TOEIC600点以上(Reading Part300点以上)の中級者以上は問題なく理解できる解説ですので、理解できない場合は英文法に関する理解が不足していると自覚して、基本的な英文法の学習に戻って下さい。
学習手順3. 英文を暗記・暗唱する
TOEIC Part5問題集は解いて理解して終わりではありません。
問題を解いてそれで終わってしまう学習者が大多数であることを知って、私はかなり驚かされました。
千本ノックシリーズの音源はabceedからダウンロード出来るので、書籍内にある案内に従ってダウンロードしましょう。
ダウンロードしたリスニング音源を使用して定着学習を行って下さい。
定着学習における目安の回数は「1英文あたり、黙読10回、リスニング20回、音読10回、暗唱5回」。これを2周しましょう。
すなわち「1英文あたり、黙読20回、リスニング40回、音読20回、暗唱10回」もの回数をやり込む必要が有ります。
定着学習のさらなる詳細に関しては下記の記事内容を確認下さい。

英文を暗記することでパターン認識が出来るようになる
Part5を1問20秒以内で解けるようになるには「問題のパターンを瞬時に理解し、考える前に”自動的に”頭の中で解けるようになる」ことが必要です。
将棋の棋士が盤面を見た瞬間に最適解が頭の中で浮かぶように、TOEIC受験者もPart5の問題を見た瞬間にこれが正解だと”直感”で理解できるようになる必要があるのです。
これが出来るようになるためには、1つの英文に100回以上触れる必要が有ります。
なお瞬発力が求められるのはListening Partでも同じで、特にPart2が該当します。
そして、瞬時に自動的に理解できるようなってはじめて英会話も出来るようになります。
余談 リスニング音源がひどかった
完全な余談ですが、「1日1分! TOEIC L&Rテスト 炎の千本ノック! これなら続けられる英語の筋トレ」の最初に公開されたリスニング音源はなんと「1ファイルで1時間半の長さ。300近い英文をまとめて1ファイルで読み上げる構成」になっていました。
英語学習者であれば分かるかと思いますが、これでは全く英語学習に使用出来ません。
「これはひどすぎる」と思って、私自身がすぐに中村澄子先生にクレームを入れました。その後、旧版の仕様と同様に1英文毎に音源の分割がなされました。
しかし、こういう音源ファイルであるにも関わらずアマゾンのレビューでは5つ星投稿がすでに多数されていたので、「多くの学習者は問題を解いて終わりで、英文の暗記作業まで着手しない」ことが分かりました。
これではTOEICの点数は上げられません。
リスニング音源を1英文当たり100回以上聴き込みましょう。そして千本ノックシリーズは2-3冊をやり込めば、Reading Part 400点に到達することも可能です。
問題を解きっぱなしでリスニング音源を聴き込んでいない場合にはR400点は不可能です。
千本ノックを2-3冊終えた後には公式問題集での学習を開始
千本ノックの英文が読めるようになれば、公式問題集の英文も読めるようになります。
この後の学習としては公式問題集でPart6, Part7の英文をどんどんと読み込んでいきましょう。
公式問題集を使った学習方法については以下の記事に紹介しています。

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下記の3つのレベルに応じてそれぞれ紹介しているのでご自身に合ったレベルの記述を読み進めて下さい。
(1) 中学生が学ぶ英文法レベルから学び直す場合
(2) 高校英文法レベルから学び直す場合
(3) 3ヶ月でTOEIC200点アップを目指す
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